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インタビュー「介護の世界を目指すあなたに元気が出るメッセージ」

インタビュー「介護の世界を目指すあなたに元気が出るメッセージ」
撮影◎丹羽 諭 (2009年12月16日公開)


平成12年に介護保険が導入され、現在ではその財政規模も倍になりました。要介護者もそうですが、介護労働者もそれに比例して増えてきました。

ただ問題はここから先で、日本の高齢化は、これからいよいよピークに入っていくわけです。一方で、少子化・総人口の減少ということがあり、総体的に若年労働者が減る。そういう、増える高齢者、減ってくる若者という環境の中で、介護労働問題をどううまく解決していけるか。これが最大の問題です。

これから15か20年くらい先を見た時に、毎年7万人前後の介護労働力が必要といわれています。今のところは何とか間に合っていますが、ここから先が非常に危ない。

介護労働の現場を見ると、なかなか定着しない。国もいろいろ雇用対策を行っており、「安心と希望の介護ビジョン」の中でも、「介護労働の環境の整備・改善」を最重要課題の一つとしています。

今の失業率は5%台と高くなっており、全産業の有効求人倍率は0.45くらいです。しかし、介護・福祉分野に限って見ると1.3倍くらいある。つまり、求人は出ているのですが充足しきれていない。

そういう中で何が起こっているか。それは、介護事業者はいい人材を望み、働く方はとにかく介護分野なら何か職があるのではないかと考えるというミスマッチです。
これからの対策には2つあります。一つは量の確保、もう一つは、現に働いている方々に定着してもらうことです。国も、介護関連の職業訓練をしたり、雇い入れた場合には事業所に対して助成金を出すなどしています。「介護未経験者雇い入れ助成金」などがそれです。

定着促進という意味では、介護報酬がやっと今回の改定で上がりましたが、今まで2度のマイナス改定があったので、事業所からすると過去の穴埋めに終わってしまう感じもある。そこで出てきたのが処遇改善交付金です。介護職員の賃金アップのために平成23年度までに1千億円の交付が予定されており、それ以降も処遇改善を図る方針ですから、大いに期待されると思います。

このような施策もあって、この数年ずっと悪いイメージでとらえられがちであった介護の仕事の将来展望も、少し明るくなりつつある、今はそういう状況だと思います。

介護労働安定センターは創設されて17年の歴史があり、介護労働力が将来的に不足するという予測を踏まえ、介護労働者の雇用環境の改善をメインテーマに仕事をしています。

またセンターは、介護保険が平成12年にスタートした時に、「介護労働実態調査」を始めました。全国の介護労働の現状がわかる基礎的データとしては唯一のものです。この結果を分析すると、いろいろな問題点がみえてきます。今般の介護労働者の処遇改善のために、この調査が大いに役立ったものと自負しています。

もう一つはこれから介護に携わる方々の仕事の質を上げいくことの支援です。昔はヘルパー2級の資格を持っていたら十分でしたが、今では現場に入ると2級では不十分であることも多い。そこで、より専門性の高い「介護職員基礎研修」をセンターで実施しています。現在、年間2,200人ほど修了生を出しています。

介護の現場から離職する理由には、賃金が低いとか、仕事がきついとかありますが、キャリアアップの仕組みが不十分なことも大きいのです。将来目標が持てないということが問題です。そこで我々の大きな仕事として、これからはキャリアアップ研修などの実施を支援することが重要と考えています。

そこで現在、全老健さんと当センターと共同でキャリアアップの仕組みづくりのためのモデル事業を実施しています。全老健、また個々の介護老人保健施設さんは、ずっと以前から介護職などへの研修へもしっかり取り組んでいらっしゃいますので、そうしたスタンスをこれからも続けていってほしいと思います。

(役職等は2009年12月16日公開時点のものです)